肥満症専門外来


肥満症専門外来(メディカルダイエット)

長く続く肥満は、「努力不足」ではなく「治療が必要な病気」です。
当院では、まずは保険診療での肥満治療を基本に考えつつ、
お仕事や子育てなどで十分な通院時間を取ることが難しい方に対して、
自由診療による肥満症治療(GLP-1製剤:ウゴービ)も選択肢としてご用意しています。


保険診療での肥満治療について

当院では、肥満症治療薬「ウゴービ」を保険診療で使用するために必要な施設基準を満たしていないため、ウゴービの保険診療は行っておりません。

そのため、原則として次のような流れをおすすめしています。

・まずは保険診療での肥満治療(生活習慣の改善、生活習慣病の薬物治療など)を検討していただく
・ウゴービなどの肥満症治療薬を保険で使用できる医療機関が適している場合は、その情報をご案内
・通院回数や時間の確保が難しい、保険診療での治療が現実的に続けにくい場合には、
 当院での「自由診療としての肥満治療」を一緒に検討していきます

保険診療での治療が優先であることを前提に、
現実的な生活状況に合わせた「次善の選択肢」として自由診療を位置づけています。


当院の肥満診療の特徴

1.初診で「肥満症のタイプ」と「併存疾患」をしっかり評価 (保険診療)

初診時には、次の内容を丁寧に確認・検査します。

・問診(これまでのダイエット歴、食生活、運動習慣、睡眠、ストレスなど)
・身体測定(体重・身長・BMI・腹囲・血圧など)
・採血検査(血糖・脂質・肝機能・腎機能・ホルモン異常の有無の確認など)

一般的に「肥満症」といっても、背景は大きく二つに分かれます。

・食べ過ぎや運動不足、生活リズムの乱れなどが中心の「一次性肥満」
・ホルモン異常(甲状腺機能低下症、クッシング症候群など)や内分泌疾患が原因で起こる「二次性肥満」

この二つでは、治療方針がまったく異なります。
当院は内分泌・糖尿病を専門とする医師が診療を行い、
「まずホルモン異常が隠れていないか」をきちんと確認したうえで、治療方針をご提案します。


2.「保険診療で十分な方」と「自由診療が向く方」を切り分け

初診の評価を元に、次の点を一緒に整理します。

・保険診療での生活習慣改善+生活習慣病治療で、現実的に改善が見込めるか
・ウゴービを含む肥満症治療薬が医学的に適しているか
・通院頻度、仕事・家庭の状況、経済的な許容範囲

そのうえで、

・保険診療中心で進める方
・ウゴービ治療を保険で行える専門施設への受診が望ましい方
・通院や時間の制約が大きく、当院での自由診療が選択肢となる方

を、患者さんと相談しながら決めていきます。


3.自由診療は「2回目の診察」からスタート

当院では、安全性と適切な適応判断の観点から、
ウゴービを用いた自由診療は「初診当日には開始しません」。

・初診:保険診療での問診・身体測定・採血検査・既往歴の確認
・結果説明(2回目の受診):
  検査結果を踏まえて、治療方針のご説明
  保険診療で進めるか、自由診療を併用するかを相談
  自由診療を希望され、医学的にも適切と判断された場合、
  ここから自由診療としてウゴービ治療を開始します

「一度落ち着いて考える時間」を挟み、
メリット・デメリット・費用を理解していただいた上でスタートすることを大切にしています。


自由診療の価格帯について

ここからは、当院で行う「ウゴービを用いた自由診療」の費用についてのご案内です。

当院では、
「一般的に保険診療で肥満症治療薬を使用した場合にかかる診療報酬」を10割負担に換算し、それを目安に、自由診療での診察料を設定しています。

保険診療でウゴービ治療を行った場合の一例 (クリニック想定):

・再診料+外来管理加算 139点(87点+52点)
・在宅自己注射指導管理料 650点
・薬剤費(ウゴービ)
・導入初期加算 580点(導入から3か月間のみ)

つまり、診察・指導部分だけで
139点+650点=789点(=7,890円相当:10割換算)となるイメージです。

当院での自由診療の費用設定

当院では、上記の診療報酬を10割負担に換算した額を基準に料金を設定しています。

【診察料(自由診療)】

・月1回の診察に伴う費用
 診察料(再診)+自己注射指導料相当
 = 7,890円(税抜)
 ※診察・ウゴービの使用方法説明・経過確認・体重測定などを含みます。

・導入初期加算(投与開始1〜3ヶ月目)
 + 5,800円/月(税抜)
 ウゴービ治療に慣れるまでの初期3か月間は、
 副作用のチェックや用量調整など、よりきめ細かなフォローが必要となるため、
 保険診療での「導入初期加算」に相当する料金を別途いただいています。

【薬剤費(ウゴービ)】

・ウゴービ皮下注0.25mg MDペン(4回分=1ヶ月分) 6,049円(税抜)
・ウゴービ皮下注0.5mg MDペン(4回分=1ヶ月分) 10,590円(税抜)
・ウゴービ皮下注1.0mg MDペン(4回分=1ヶ月分) 19,051円(税抜)
・ウゴービ皮下注1.7mg MDペン(4回分=1ヶ月分) 30,194円(税抜)
・ウゴービ皮下注2.4mg MDペン(4回分=1ヶ月分) 40,861円(税抜)

【ペンニードル】

・ペンニードルプラス 32G×4mm 1本あたり 17円(税抜)
 1本/回 使用します(ウゴービ1回注射につき針を1本使用)。

※上記金額はすべて税抜価格です。実際のお支払いは別途消費税が加算されます。
※薬剤費は仕入れ価格や薬価改定により変動する場合があります。
※自由診療のため、公的医療保険(高額療養費制度など)の対象にはなりません。


月々の自己負担イメージ(例)

あくまで一例ですが、

・開始1〜3か月目(0.25〜0.5mgなどの低用量から開始する場合)

 診察料 7,890円
 + 導入初期加算 5,800円
 + ウゴービ薬剤費(例:0.25mg 6,049円)
 + ペンニードル費用
 = おおよそ 2万円前後(税抜)のレンジ

・4か月目以降(導入初期加算終了後)

 診察料 7,890円
 + ウゴービ薬剤費(用量によって変動)
 + ペンニードル費用

となり、用量が上がるにつれて薬剤費も増えていきます。

「どのくらいの費用で、どの程度の期間続けるか」は、
病状、生活状況、ご予算を踏まえ、初回のカウンセリングや結果説明の場で一緒に検討します。


自由診療を検討される方へ

・まずは保険診療での肥満治療が良い選択肢になりうるかどうかを、一緒に確認します。
・ウゴービによる治療は、強力な一方で、副作用や費用負担も小さくありません。
・「今の生活状況で、どこまで頑張れるか」「どこまでなら無理なく費用をかけられるか」を率直に伺いながら、
 保険診療と自由診療のバランスを一緒に考えていきます。

必ずしも「自由診療=正解」ではありません。
あなたの健康状態と生活のリアルに合わせた、現実的な選択肢を一緒に探していく外来です。


ウゴービ治療を受けられる方・受けられない方(適応条件)

ウゴービを用いた自由診療は、「肥満であれば誰でも」受けられる治療ではありません。

当院では、安全性と医学的な妥当性を重視し、
次のような条件を満たす方に限定して治療を行います。

受けていただける可能性がある方

以下はあくまで一般的な目安であり、
最終的な判断は診察・検査結果を踏まえて医師が行います。

  • BMIが一定以上で、肥満症と診断される方
    (具体的な数値の目安については診察時にご説明します)
  • ダイエットや生活習慣の改善に取り組んでも、
    十分な体重減少が得られなかった方
  • 高血圧・脂質異常症・睡眠時無呼吸症候群・脂肪肝など、
    肥満と関連する健康上のリスクや病気をお持ちの方
  • 初診時の血液検査で、
    肝機能・腎機能・膵臓の状態などに大きな問題がない方
  • 治療の内容・費用・副作用について理解し、
    定期的な通院や自己注射による治療を、無理のない範囲で続けられる方

原則として治療を行わない方

安全性の観点から、次のような方には
当院でのウゴービによる治療は行っておりません。

  • 妊娠中・授乳中の方、近く妊娠を予定している方
  • 重い肝機能障害・腎機能障害・膵炎の既往がある方
  • 重い胃腸の病気(強い胃もたれ・胃の通過障害など)がある方
  • 重い心不全など、全身状態が不安定な方
  • 過去にGLP-1受容体作動薬で重いアレルギー反応を起こしたことがある方
  • 医師の指示に沿った自己注射や通院が、現実的に難しいと判断される場合

※上記は一例です。
 他のお薬との組み合わせや、持病の内容によっても適応が変わるため、
 詳細は診察の際に個別にご説明します。


何度も言いますが、「自由診療が第一選択」ではありません

ウゴービは、肥満症治療において大きな選択肢である一方で、

  • 強い効果を期待できる代わりに、副作用や費用負担も小さくない薬
  • 使い方ややめ方を誤ると、体調悪化やリバウンドにつながる可能性もある薬

という側面も持っています。

当院では、

  1. まずは保険診療で行える肥満治療(生活習慣の見直し・生活習慣病の治療)を検討
  2. 医学的にウゴービが適しているかどうかを評価
  3. 通院・生活・費用面のバランスを踏まえて、「本当に今、必要な治療か」を一緒に検討

というステップを踏むことを大切にしています。


Q&A(よくある質問)

Q1.誰でもウゴービによる自由診療を受けられますか?

A.いいえ、「どなたでも」というわけではありません。
当院では、次のような点を総合的に見て、医師が適応の有無を判断します。

・肥満症の程度(BMIや内臓脂肪の状態)
・糖尿病や高血圧、脂質異常症、睡眠時無呼吸症候群などの合併症
・これまでの治療歴(食事・運動療法や他の薬剤など)
・ホルモン異常(甲状腺機能低下症など)がないかどうか
・妊娠中・授乳中でないか、近い将来の妊娠希望の有無
・現在飲んでいるお薬との相互作用の可能性

初診では保険診療で検査を行ったうえで、医学的に安全かどうかを確認し、
2回目以降に自由診療が妥当かどうかを一緒に検討します。


Q2.どのくらい体重が減りますか?必ず痩せますか?

A.体重の減り方には個人差が大きく、「必ず○kg減る」といったお約束はできません。

一般的に、体重の3〜5%程度の減量でも、血糖値・血圧・脂質・脂肪肝などの改善が期待できると報告されています。
ただし、
・もともとの体重や生活習慣
・どのくらい食事や生活リズムを整えられるか
・継続できる期間
によって結果は変わります。

当院では「体重を何kg落とすか」だけでなく、
「どのくらい健康リスクを下げたいか」「どんな生活を送りたいか」を一緒に考え、
そのうえで現実的な目標を決めていきます。


Q3.治療はどのくらいの期間続ける必要がありますか?

A.目安としては「少なくとも数か月単位」での継続が前提になります。

・1〜3か月目:少量から開始し、副作用を見ながら徐々に用量を調整する時期
・4か月目以降:目標体重や体調に応じて、継続するかどうかを定期的に見直す時期

歩き始めてすぐに薬をやめてしまうと、体重も元に戻りやすくなります。
当院では、3か月、6か月といった節目ごとに「ここから先も続けるか」「ペースを落とすか」を
一緒に話し合いながら、続け方を決めていきます。


Q4.自由診療と保険診療の違いは何ですか?

A.主な違いは「費用負担」と「使える薬の範囲」です。

・保険診療
 生活習慣の改善指導や、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの治療薬を用いた肥満治療が中心になります。
 自己負担は1〜3割で、高額療養費制度などの対象にもなります。

・自由診療
 ウゴービなどの肥満症治療薬を、自費で使用していただく形になります。
 保険が使えないため、費用は全額自己負担で、高額療養費制度などの対象外となります。

当院では、まず保険診療での治療が適切かどうかを検討し、
保険では現実的な治療になりにくい場合の選択肢として、自由診療をご案内しています。


Q5.副作用はどのようなものがありますか?

A.ウゴービによる主な副作用としては、次のようなものが報告されています。

・吐き気、むかつき
・お腹の張り、腹痛
・下痢または便秘
・食欲低下
・頭痛、だるさ

まれに、
・膵炎
・胆のう・胆管のトラブル
など、重い副作用が起こることもあります。

初期は少量から開始し、少しずつ用量を増やすことで、
副作用をある程度抑えられる場合もあります。
気になる症状が出た場合は、自己判断で続けず、必ずご相談ください。


Q6.妊娠中・授乳中でも治療を受けられますか?妊娠を希望していますが大丈夫ですか?

A.妊娠中・授乳中の方には、ウゴービによる治療は行っておりません。

また、近い将来の妊娠を強く希望されている場合も、
薬の中止タイミングや、体重・栄養状態を十分に考慮する必要があります。

・すでに妊活中の方
・今後の妊娠を検討している方
は、初診時に必ずお知らせください。
妊娠前・妊娠中・産後の体重管理についても含めて、適切な方法を一緒に考えます。


Q7.薬をやめたらリバウンドしませんか?

A.どのような減量方法でも、生活が元に戻れば体重も戻るリスクがあります。

ウゴービは「痩せやすい状態を一時的につくる薬」であり、
薬をやめても続けられる食事・運動・睡眠習慣を一緒に整えていくことが大切です。

当院では、
・減量が進んだ段階で、少しずつ用量を下げていく
・薬を減らしたあとも体重が安定するかをフォローする
・必要であれば、再度短期間のみ薬を使って調整する
といった形で、できるだけリバウンドを防ぐ計画を立てていきます。


Q8.食事制限や運動をしなくても、薬だけで痩せられますか?

A.「何も変えずに薬だけで痩せる」という考え方はおすすめできません。

ウゴービは食欲を抑え、食べる量を減らしやすくする薬ですが、
・夜中の間食
・甘い飲み物やお酒の多飲
・極端な不規則生活
などが続いたままだと、期待した効果が得られないこともあります。

当院では、
「完璧な食事制限」ではなく
「薬の力を借りながら、無理なく変えられる部分を一緒に探す」
というスタンスで、生活習慣の改善をサポートします。


Q9.遠方に住んでいますが、オンライン診療だけで通うことはできますか?

A.現時点では安全性の観点から、行なっておりません。


Q10.途中でやめたくなった場合、いつでも中止できますか?

A.はい、いつでも中止できますが、急にやめると体調が変化する場合もあります。

・体重・体調・血糖値などを確認しながら、少しずつ用量を下げていく
・糖尿病薬など他のお薬の調整が必要な場合には、先にそちらを整える

といった手順が必要になることがあります。
「続けるのがつらくなってきた」「費用的に厳しくなってきた」と感じた時点で、
早めにご相談ください。


Q11.他の病気で通院中ですが、それでも受診できますか?

A.高血圧・脂質異常症・糖尿病・脂肪肝などで通院中の方は多く、肥満治療がそれらの病気の改善につながることも少なくありません。

持病の内容や、飲んでいるお薬の種類によっては、用量の調整や慎重な経過観察が必要になることがあります。

・現在かかっている医療機関
・服用中のお薬
がわかるもの(お薬手帳など)を必ずお持ちください。
必要に応じて、主治医の先生と連携をとりながら治療を進めます。


Q12.未成年でも受けられますか?

A.当院のウゴービを用いた自由診療は、原則として成人の方を対象としています。

成長期の体重管理は、ホルモンや発育への影響を十分に考える必要があります。
未成年の方の肥満については、小児科や小児肥満を専門とする医療機関での
評価・治療が望ましいケースが多いため、個別にご相談ください。


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